15%ぐらいがちょうどいい【科学者たちが語る食欲/デイヴィッド・ローベンハイマー,スティーブン・J・シンプソン】

バッタの食事シーンがふんだんに盛り込まれた良書です。

食欲ビッグ5

人間が生きていくためには、タンパク質、炭水化物、脂肪、ナトリウム、カルシウムの5つの栄養素が必要だ。

この食欲ビッグ5は私たちが味を識別できる栄養素である。私たちはビッグ5を摂取するため、ビッグ5の味を識別できるよう進化した。

そして食べ過ぎを抑える作用があるのが食物繊維だ。

ビッグ5と食物繊維をバランス良く摂取していれば、私たちは健康に暮らせる。

しかし現在、世界では多くの人たちが肥満に悩まされている。なぜ人は食べ過ぎ、病気になってしまうのだろうか。

一番欲しいのはタンパク質

ビッグ5のうち、私たちが最も強く求めるのはタンパク質だ。

人は健康に生きるために食事全体におけるタンパク質比率をおよそ15%にしていることが実験により明らかになった。

私たちはタンパク質比率15%を達成するまで食べ続けるのだ。

食事に含まれるタンパク質が少ないと、必要なタンパク質を取るために食べ過ぎてしまう。

その結果肥満になってしまうというわけだ。

タンパク質の取りすぎもよくない

肥満を防ぐためにはきちんとタンパク質を取ることが大事だ。

しかし逆にタンパク質を取り過ぎてしまうと別のリスクも発生する。

マウスを使った実験によると、低タンパク質高炭水化物のエサを与えられたマウスは、高タンパク質低炭水化物のエサを与えられたマウスより寿命が長かった。

タンパク質の過剰摂取によって炭水化物と脂肪が不足すると、老化が早まり寿命が短くなる可能性がある。

当たり前だが、食事はバランスが大事だということだ。

バランスを崩す工業食品

他の生物と同様に、私たち人間も環境の変化に合わせて、必要な栄養を取るために食事を変化させてきた。

火を利用し、道具を発明し、農業を営み、土地土地に合ったバランスの良い伝統的な食事を取りながら繁栄してきた。

しかし現在、工業化された食糧生産と流通のグローバル化により、大量の工業食品が世界中の伝統的な食事を壊し始めている。

工業食品の中でも、高度に加工された材料と人工的な成分で作られる超加工食品は、タンパク質と食物繊維が少なく、脂肪と不健康な炭水化物が多く、風味を高める物質が添加されている。これが肥満と不健康の原因だ。

巨大な多国籍食品企業の巧みな戦略による超加工食品の大量販売により、人々は肥満のみならず様々な健康被害を受けている。

食事のバランスを保つためには、工業食品がいかに健康への悪影響を無視して作られているかということを知り、できるだけ食べないということが大切だ。

健康的で楽しい食生活を送るために

低タンパク質の食品を不自然においしくした超加工食品は、本来人間が持っている食事によって栄養バランスを保つ仕組みを破壊した。

その結果人々は肥満になり、病気になっている。

私たちは、健康に生き続けるために正しい知識を身につけなければならない。本書の最後に紹介されているヒントから、まずはこの4つを意識してみる。

  • 高タンパク質食品を食べる
  • 超加工食品を食べない
  • 食物繊維を食べる
  • 空腹の時に食べる

まさに動物の食生活だ。

さあ今日から、動物のように食べ、健康的で楽しい食生活を送ろう。

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