今年も素敵な1年になりますように。
- 枕元に置いておきたい1冊
- 春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む。
- 作の非を悔ゆる者は之れ有り、今の過を改むる者は鮮なし。
- 得意の時候は、最も当に退歩の工夫を著くべし。一時一事も亦皆亢龍有り。
- 著眼高ければ、則ち理を見て岐せず。
- 人の言は須からく容れて之を択ぶべし。拒む可からず。又惑う可からず。
- 聡明にして重厚、威厳にして謙沖。人の上たる者は当に此くの如くなるべし。
- 心に中和を得れば、則ち人情皆順い、心に中和を失えば、則ち人情皆乖く。感応の機は我に在り。
- 学は立志より要なるは莫し。而して立志も亦之れを強うるに非らず。只だ本心の好む所に従うのみ。
- 已むを得ざるに薄りて、而る後に諸を外に発する者は花なり。
- とにかく明日が楽しみな1年に
枕元に置いておきたい1冊
正月だ。
去年は学びが多い1年だった。
今年もよく学び、よく聞き、よく話すことができる1年にしたい。
そのために、枕元には最強の指南書を置いておこう。
多くの人々に影響を与えた幕末の儒学者、佐藤一斎の言葉。
最強の言葉の力を借りれば、最強の1年を送れるに違いない。
春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む。
しゅんぷうをもってひとにせっし、しゅうそうをもってみずからつつしむ。
春風のなごやかさをもって人に応接し、秋霜のするどさをもって自らを規制する。
最強の人生指南書|齋藤孝
いつも爽やかな春風のように他人と接する。そんな人になろう。
仕事で行き詰まった時も、心身の調子が良くない時も、他人に対しては常に春風。
そして自分に対しては秋霜。自分に甘くなることが多かった去年の反省を踏まえ、今年は自分に厳しく生きるんだ。
春風と秋霜を性根に刻んで、毎日を過ごそう。
作の非を悔ゆる者は之れ有り、今の過を改むる者は鮮なし。
さくのひをくゆるものはこれあり、いまのあやまちをあらたむるものはすくなし。
過去の非を後悔する人はあるが、現在していることの非を改める人は少ない。
最強の人生指南書|齋藤孝
ああ、昨日この仕事を片づけておけばよかった。
ああ、昨日飲みすぎなければよかった。
今年はこれをなくすんだ。
今、この瞬間の結果が1日になり、そして1週間、1か月、1年をつくる。
未来の自分から見て、この一瞬、1時間、1日はどうか。
克己を何度実感できるか挑戦だ。
得意の時候は、最も当に退歩の工夫を著くべし。一時一事も亦皆亢龍有り。
とくいのじこうは、もっともまさにたいほのくふうをつくべし。いちじいちじもまたみなこうりょうあり。
思いがかなった時こそ、一歩さがる工夫をすべきである。時間的にも、事柄的にも、昇りつめた龍、つまり、尊貴を極めたものは、退歩を考えておかないと必ず敗滅の悔があるものである。
最強の人生指南書|齋藤孝
きっと今年も、「お、今調子いいな」と感じるタイミングはきっと来る。そんな時こそ思い出したい言葉だ。
上りつめたものは必ず落ちるのは自然の理。順境の時に崩壊は始まっているのだから、常に退き方を考えておかなければならない。
調子に乗ることは悪いことではないが、調子に乗っていることを自覚しなければならない。
今年もいい感じに調子に乗っていこう。
著眼高ければ、則ち理を見て岐せず。
ちゃくがんたかければ、すなわちりをみてきせず。
出来るだけ大所高所に目をつければ、道理が見えて、迷うことがない。
最強の人生指南書|齋藤孝
簡単なようで難しい客観視。
自身を上空から別のカメラで見ているイメージで見ることができれば、周囲と自分との関係がよく見える。
私たちは常に集団で生活している。大事なのは自分よりも集団。自分だけでなく、集団全体の利益のことを考えて行動する。
自己中心性からどこまで離れられるか。この1年で、人間としてどれだけ成熟できるか楽しみだ。
人の言は須からく容れて之を択ぶべし。拒む可からず。又惑う可からず。
ひとのげんはすべからくいれてこれをえらぶべし。こばむべからず。またまどうべからず。
他人のいうことは、一応、聴き入れてからよしあしを選択すべきである。始めから、断ってはいけない。また、その言に惑ってはいけない。
最強の人生指南書|齋藤孝
人の話をよく聞く。より豊かな人生を送るためにはとても大切なことだ。
まずは聞く。聞いてから自分の頭で考える。そのためにわからないところは質問する。
今年も他者との会話を大いに楽しめる1年にしよう。
聡明にして重厚、威厳にして謙沖。人の上たる者は当に此くの如くなるべし。
そうめいにしてじゅうこう、いげんにしてけんちゅう。ひとのかみたるものはまさにかくのごとくなるべし。
上に立つ者は、次のようにありたい。さとく明らかに物事を洞察し、しかも、おもおもしく穏やかであり、その態度は威厳があって、しかも、へり下って、わだかまりがない。
最強の人生指南書|齋藤孝
相手の言うことをよく聞く。どんな状況でも冷静沈着に行動できる。謙虚で威張らない。
そして何よりいつも上機嫌。リーダーの上機嫌は、それだけでメンバーへのプレゼントになる。
そんなリーダシップは、立場に関係なく実践できる。
ヒラだけどリーダーシップを実践し、育む1年にしたい。
心に中和を得れば、則ち人情皆順い、心に中和を失えば、則ち人情皆乖く。感応の機は我に在り。
こころにちゅうわをうれば、すなわちにんじょうみなしたがい、こころにちゅうわをうしなえば、すなわちにんじょうみなそむく。かんおうのきはわれにあり。
心が平静で、中和、すなわちどちらにも偏らず、節度に適っていれば、人々の気持は皆わが心にしたがっていくけれども、心に中和を失えば、人情は皆自分にそむいていくものである。人の心の感応するはずみは自分にあるのである。
最強の人生指南書|齋藤孝
思想、偏ってませんか?
中和、中庸。これも常に心に置いておきたい言葉だ。歳を取れば取るほど頭が固くなり、ついつい極端な意見を持ってしまう。
人望があるのは、尖っていない、中和に近い性格の人だ。
中和から離れた極端な意見を言うことは、人望を失うリスクがある。
だが言うべき時には思い切って言おう。自分の魂には従うべきだ。
学は立志より要なるは莫し。而して立志も亦之れを強うるに非らず。只だ本心の好む所に従うのみ。
がくはりっしよりようなるはなし。しこうしてりっしもまたこれをしうるにあらず。ただほんしんのこのむところにしたがうのみ。
学問をするのに、志を立てることよりも重要なことはない。けれども、志を立てることを強要してはいけない。本心の好みに従うしかない。
最強の人生指南書|齋藤孝
志を立てるためには、自分の好きなことをしろ。
自分が好きなことがわからなければ、何でもいいからまずはやってみろ。
世に溢れるたくさんの本にも書いてある熱いメッセージだ。
魂に従って行動し続けて、志を立てる1年にしよう。
已むを得ざるに薄りて、而る後に諸を外に発する者は花なり。
やむをえざるにせまりて、しかるのちにこれをそとにはっするものははななり。
準備万端ととのって、やむにやまれなくなって、蕾を破って外に咲き出すのが花である。
最強の人生指南書|齋藤孝
花は、誰かに褒められたくて咲いているのではない。時期が来た時に、自然と咲く。
時期が来れば自然と内側から外に溢れ出るのが、その人の本当の美しさ。
花に習い、他人の評価を気にせず、内側の自分と対話し続ける。
咲くか咲かないかは自然にまかせる。ただひたすら魂を磨き続ける。
そんなふうに生きられれば、きっと幸せだ。
とにかく明日が楽しみな1年に
何か楽しみなことがあれば、時間の経過が嬉しく、毎日が楽しく感じる。
今日よりも明日、明日よりも明後日、自分は成長できると思えれば、未来は明るい。
そんな人が増えれば、日本の未来もきっと明るい。
言志四録とともに、楽しい1年を送ろう。
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