新年の抱負を聞かせてください。
アウトプットの機会が到来
社内の皆さんに向けて新年の抱負を話す機会が与えられた。これまで積み重ねたインプットをアウトプットする絶好のチャンスだ。
色紙1枚に抱負を書き初めし、それについて語るという企画だ。内容は多くの社員の目に触れる媒体に掲載される予定だ。すぐに浮かんだ気持ちはこうだ。
ウケたい。スベりたくない。いいことを言いたい。
・ウケたい←単なる承認欲求 ・スベりたくない←これも単なる承認欲求 ・いいことを言いたい←良い悪いの判断は他者の課題
少しは自分の心を分析することができるようになっているようだ。これは大きな成長だ。学びを続けてきてよかった。
せっかくなので、言葉のプロによって書かれた本書の力を借りて、新年の抱負を考えてみる。
「内なる言葉」と向き合う
課題は、「新年の抱負は何?」だ。さっそく思考サイクルをインストールして、内なる言葉と向き合っていこう。
①頭にあることを書き出す
新年の抱負と聞いて、まず頭に浮かんだ言葉を書き出してみる。
卯年で年男だから跳ねる1年に。学びを継続する。FP3級を取得する。去年取得した簿記3級を実生活に活かす。家族と職場のみんなに貢献する。筋トレを継続する。コミュニケーション能力を上げる。感謝を忘れない。変化を歓迎する。明日に希望を持つ。影響力を高める。正直に生きる。ネガティブな発言をしない。たくさんイラストを描く。
②「T字型思考法」で考えを進める
現れた「内なる言葉」に対し、「なぜ?」、「それで?」、「ほんとうに?」を繰り返す。
学びを継続する。(なぜ?)学ぶことで気づきが増え、毎日新鮮な気持ちで過ごすことができるから。(それで?)学びを継続し、経験を重ねることで、今より高い場所に行ける。(ほんとうに?)学びを始める前と後では明らかに違う場所にいる。今年は自分の中だけでなく、他人からも見える形で結果を出す。
筋トレを継続する。(なぜ?)脳内ホルモンが分泌され気分が高揚し、上機嫌で過ごせるから。(それで?)毎日上機嫌でいれば、周囲の人たちに優しくすることができ、良好な人間関係を築くことができる。(ほんとうに?)筋トレを継続できるようになってから、明らかにメンタルが好調。周囲から見るとちょっとうざいかもしれない。
影響力を高める。(なぜ?)信頼が増え、自分の話を聞いてくれる人が増えると、今よりもっと円滑に仕事を進めることができるようになるから。(それで?)良い情報をよりたくさんの人に共有することが、組織への貢献になる。(ほんとうに?)価値観の押し付けになる危険性がある。常に中庸であることを心がける。
③同じ仲間を分類する
書き出した意見を仲間分けし、自分の思考のクセを知る。
【継続】
学びを継続する。筋トレを継続する。感謝を忘れない。たくさんイラストを描く。
【向上】
卯年で年男だから跳ねる1年に。FP3級を取得する。去年取得した簿記3級を実生活に活かす。家族と職場のみんなに貢献する。コミュニケーション能力を上げる。変化を歓迎する。明日に希望を持つ。影響力を高める。正直に生きる。ネガティブな発言をしない。
④足りない箇所に気づき、埋める
ここまで出てきた言葉たちを文章にまとめると、「学びを継続し、経験を重ね、より重厚な人間に成長する」といったところだろうか。この文章の足りない部分を埋め、より解像度を上げることで密度を濃くしていこう。
学びを継続し、経験を重ね、より重厚な人間に成長する。(なぜ?)知識と経験が増えれば増えるほど、重厚な人間になれる。(それで?)聡明にして重厚、威厳にして謙沖。そんな人間を目指す。(ほんとうに?)偏った思想にならないように注意する。人の話をよく聞き、中庸であることを常に意識する。
⑤時間を置いて、きちんと寝かせる
今回の企画の話をいただいたのが3日ほど前。その後すぐにここまでを書き、今日見直したところだ。十分熟していると判断し、次のステップに進もう。
⑥真逆を考える
自分の常識は先入観にすぎない。真逆の意見を考えることにより、世界を広げる。
学びを継続し、経験を重ね、より重厚な人間に成長する。 ⇄ 学びをやめて、反応し続けながら生きる方が気楽でいい。
知識と経験が増えれば増えるほど、重厚な人間になれる。 ⇄ 偏屈で頑固な嫌われ者になるかもしれない。無知な方が愛される。
⑦違う人の視点から考える
最後のステップは、特定の誰かになりきり、その人ならどう考えるかを想像する。いつもサポートしてくれている妻になりきらせてもらおう。
学びを継続し、経験を重ね、より重厚な人間に成長する。妻「いたずらに本を買いまくっているだけでは?得た知識と経験を早く家族に還元してほしいな。」
知識と経験が増えれば増えるほど、重厚な人間になれる。妻「本に書いてあったことを偉そうに話すだけだと単なるうっとおしい人。そんなことより成果を出してくれる?」
これは効く。かなり苦い薬だが、頑張って飲もう。
「外に向かう言葉」に変換する
「内なる言葉」としっかり向き合うことで現れた新年の抱負はこちら。
学びを継続し、より多くの知識と経験を重ねることで、聡明にして重厚、威厳にして謙沖な人間に成長する。
このままでは色紙1枚には到底収まり切らない。収まる長さに変換するため、プロに教えを請おう。
①たとえる(比喩、擬人)
短く分かりやすい言葉に変換し、イメージを共有する。
・大樹のような人になる。
・心の体重を増やす。
筋トレの要素も入れてみたが、少し物足りない。
②繰り返す(反復)
大事な言葉を繰り返す。
・学ぶ。学び続ける。
・重さを重ねる。
なんかいい感じになってきた。
③ギャップをつくる(対句)
ギャップにより言葉を強くする。
・軽く続けるのをやめる。
・軽やかに重くする。
迷走が始まった。
④言いきる(断定)
断定は説得力を生む。
・学ぶことで重くなれる。
・続けなければ意味がない。
言葉に重厚感が出た。(断定)
⑤感じる言葉を使う(呼びかけ)(誇張・擬態)
自分が伝えたいことを形にするために、より適した言葉や単語を選ぶ。
・とりあえず、読んでみよう。
・とりあえず、聞いてみよう。
うーん、テクニック不足。
伝える相手を意識する
大事なことを忘れていた。言葉は相手に伝わらないと意味がない。伝える相手に思いを馳せることで、より伝わる言葉になる。
新年の抱負を誰に伝えるか。自分と似たような現状の人を想定しよう。30代サラリーマン、職場では中堅。深刻な不満や悩みはないけど、このままではいけない、今の自分ではない自分になりたい、もっと市場価値を上げたい。そんな気持ちで悶々としている人に伝える言葉。
あなたに伝えたいことがある。読書と筋トレが人生を変える。
常套句を排除し、自分らしい言葉で伝える。
・学ぶ喜びを、ずっと一緒に。 ・なりたい自分は、重厚聡明。
一字でも減らし、色紙サイズに。
・重
・続
・筋
大きさは色紙1枚、毛筆に自信なし。漢字1字で勝負だ。
その武器を、誰かのために鍛えよう
新年の抱負は漢字一字で「重」。
「続」は画数の多さがネックとなった。「筋」も好きだが「すじ」はまだ荷が重い。来年以降の候補だ。
今年は「重」という言葉を握りしめ、日々を重ね、重厚な人間に成長していきたい。
この一文字にたどり着くまでに多くの「内なる言葉」に出会えた。そしてそれらを「外に向かう言葉」に変換する作業も大いに楽しめた。
本書で学んだ「内なる言葉」を鍛える技術は一生ものだ。これからも鍛え続け、磨き上げた言葉という武器を、自分の利益ではなく誰かのために使う。
そんな人になるために、これからも自分と向き合おう。
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