素直さを思い出す【「正しい」とは何か?/武田邦彦】

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コロ助騒動が終焉を迎えようとしている。日本全体が明るさを取り戻しつつあるのはとても嬉しい。この暗い3年間のおかげで、僕たちは大事なことに気づくことができた。

政府、マスコミ、病院の言うことは信用できない。

彼らが言ってきた「正しさ」は本当に正しかったのか。そもそも「正しい」とは何なのか。僕たちはどうすれば「正しく」生きることができるのか。

僕たち大人は、「正しさ」について考え、「正しさ」を追求し続けなければならない。本書はきっと、そのための良いきっかけになる。

僕たちは「自分が考えていることが正しい」と思っている。あることについて正しいかどうか判断する時、「自分がそう思うから」という理由で判断する。判断は人によって違うため、生きている人の数だけ正しさは存在する。

商売においては、売り手は「できるだけ多く、高く売れればよい」という正義に基づいて行動する。買い手はそれを認めている。正しさは商売にもその数だけ存在する。

そもそも生物である人間は、限りある水や食料、快適な場所を確保するために「敵に勝つ」ことが正義だ。しかし人間は集団でなければ生きることができないため、個人が生物的な正しさだけを発揮すると、集団の幸福が損なわれる。よってそれを補正するのが正しいことであり、正義は集団ごとにも存在するということが言える。

もしも自己または自分が所属する集団だけの正義を、社会全体にとっての正義に変換することができれば、堂々と自分の利益だけを増やすことができる。そのために使われているのが西洋の学問であり、僕たちはそれによって作られた事実を事実だと思わされていることが大いにある。

かつての植民地支配から現在の温暖化問題に至るまで、ヨーロッパ的な正義は利己的な正義を利他的な正義に粉飾したものであり、多くの人々はそれに騙され不幸になった。一見正しいことのように見えることも、ヨーロッパ流の利己的正義によって仕掛けられたトリックではないかと疑うことが大切だ。

日本では、「空気」こそが「正しい」とされる風潮がある。

タバコを吸う人は減り続けているにも関わらず、肺がんで亡くなる人は増え続けているという事実はデータを見れば明らかだ。なのに「タバコを吸うと肺がんになる」ということが正しいという空気が社会に蔓延し、喫煙者は悪とされている。

なぜか。そこに利権があるからだ。そのために空気を形成している。高血圧もメタボも同じ。利権団体が儲けるために、今日もせっせと新たな正しさが作り出されている。

この度のコロ助騒動も、視聴率を上げるためだけに志のない報道を続けるテレビや、販売部数を伸ばすために絶賛したりこき下ろしたりする新聞によって作られた空気が原因だった。これによって得したのは誰か。国民にとって本当に正しいことが行われていたのか。

世間で正しいと言われ始めたことは、誰かが意図を持って形成しようとしている空気だということがよくある。お家芸である手のひら返しをされた時にいちいち怒るエネルギーを節約するためにも、テレビと新聞は極力見ないのがおすすめだ。

一人ひとりが別々の正しさを持っており、その正しさを形成する材料である正しさも、様々な正しさによって作られている。

いよいよ何が正しいのかわからなくなって混乱してしまった僕たちに対して、著者は本書の最後で一つの考えを教えてくれる。

つまりは人間らしい心、他人の苦しみのわかる心を持つということです。かつてならそれを「良心」と言いました。正義に反することに直面すると、良心に耐えられずに、正義を守るために、自分の名誉やお金を捨てる。それらがもっとも単純に正しいことを守る方法ではないかと、私は考えています。

「正しい」とは何か?|武田邦彦

「正しさ」を考えて考えて考え抜いた後、それでも決断ができない時は、「素直さ」に立ち返るべきだ。素直な自分の心には、きっと日本人としての良心が存在する。その良心に従って行動すれば、きっと自分の魂は喜んでくれる。

幼い頃持っていたような、無条件で人に優しくすることができる素直な心を思い出すことで、今より正しく生きることができそうだ。

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