小説を読んで、涙を流す。
久しぶりにそんな体験をした話です。
直球ど真ん中の青春。だから泣ける。
長距離走素人の大学生が、箱根駅伝を目指す。
これがストーリー。王道。だからこそ泣ける。
天性の才能に恵まれた主人公、彼を導く格好良過ぎる先輩。
個性豊かなチームメイト、そしてライバル校のランナーたち。
シンプルであればあるほど美しく、胸を打たれる。最高の小説だ。
知っているようで知らなかった、箱根駅伝。
箱根駅伝。それは大人たちがお正月に毎年観ている退屈な番組。ずっとそう思っていた。
しかしこの小説を読み、箱根駅伝のコース、出場資格、このレースに賭ける選手たちの熱い想いを知ってしまったあなたは、もう後戻りできない。
次のお正月は、きっと箱根駅伝の中継に釘付けだ。
何のために走るのか。
一体何のために走るのか。
初めて長距離走を経験した時に浮かぶ疑問だ。
自転車、自動車、新幹線、飛行機…便利な乗り物がたくさんあるこの時代に、なぜわざわざ自分の肉体を酷使し、苦しい思いをしてまで走るのか。
走る理由。それは走る理由を知るためだ。
肉体に、精神に限界まで負荷をかけることで、見えてくるのは自分自身。
自分はどこまで速く走れるのか。もっと速くなるためにはどうすればいいのか。もっともっと速くなるために、必要なものは何か。
箱根のランナーたちは、走ることで自分の体と心のことを知り、それらにとことん向き合う。
ランナーたちは走ることで、自分自身、すなわち人生と向き合っている。
その光景を見ることで、僕も自分自身と向き合おうと思う。
どう生きれば、もっと自分は幸福になれるのか。どうすればもっともっと人を愛し、愛されることができるのか。
全力で自分に向き合わない限り、自分が生きる意味などわからない。
生きる意味を知るために、僕たちは全力で生きている。
今この瞬間から走り出そう。
今この瞬間、全力で自分と向き合い、全力で何かに集中することで、過去や未来への悩みは消えてなくなる。
悩みゼロ。それはきっと幸福だ。
そんな一瞬一瞬の積み重ねが人生なのだから、人は今この一瞬から幸福になれる。
何をしたらいいかわからなければ、とりあえず走ってみるといい。
家のどこかに置きっぱなしになっているランニングシューズを引っ張り出して、外へ走り出し、自分と対話しよう。
終わりに
心が動く本を読んで、感動して、涙を流す。
その気持ちを誰かと共有することができたら、この上ない幸せだ。
そんな豊かな人生を歩んでいきたい。
全力で自分と向き合う勇気と、全力で生きる勇気がもらえる本でした。
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