ロードムービーというジャンルにはまることになりそうです。
「IMAX」×「すずめの戸締まり」=「最高」
新海誠監督の映画が好きだ。
とても良い感動をもらった「君の名は」と「天気の子」に続く今作も、とても楽しみにしていた。
楽しみ過ぎてうっかりIMAXで観てしまった。最高だった。
できれば平日、できればおっさん同士で観るのがおすすめだ。
ロードムービーの傑作
今回初めて知ったのだが、「すずめの戸締まり」はロードムービーというジャンルだそうだ。
旅の途中で起こる様々な出来事が、映画の物語となっているものをそう呼ぶらしい。
つまり、すずめの戸締まりはロードムービーの傑作だ。
旅をすることによって、物語は進み、主人公が成長していく。
アニメならではの演出で描かれる、主人公の成長、旅先で出会う人々の優しい心、美しい風景。
初めて体験したIMAXのせいかもしれないが、いつもより余計に泣いた。
極上のリアリティー
アニメなのにリアリティーがあるのが新海誠監督映画の魅力の1つだ。
「秒速5センチメートル」の連結器、「君の名は」のスケッチ、「天気の子」のビッグマック、「すずめの戸締まり」のシエンタ。
絶妙なリアリティーにそそられる。非現実と現実がリンクする瞬間がたまらない。
もしかしたら画面に映る夢物語への入口が、この現実世界のどこかにあるのではないか。
そこに行けば、失ったものを取り戻せるんじゃないか。
現実をどう加減乗除すればアニメ的世界に行けるのか。それが知りたくて、僕はこれからもアニメ映画を観続ける。
滲み出る男女の違い
本作には、たくさんの親切な人々が登場する。
その優しい人々の多くは女性。
無条件に与える愛は女性の特性だ。
女性に比べて、男性である自分にはそれが圧倒的に少ないことを自覚した。だがそれは仕方ない。
男と女は違う。これははっきり現実と重なる事実だ。
違うからこそ惹かれ合うんだろう。違いを認識し、それぞれがそれぞれの幸せのために尽くす。そんなふうにパートナーと生きていければ幸せだ。
この世界に神様はいる
新海誠監督の映画に欠かせない要素が神様だ。
本作にも猫の神様が登場する。
猫は可愛い。特に黒い方が可愛かった。
深い考察や知識は追い追い勉強するとして、映画に出てくる神、動物、災害といったものに共通するキーワードは、自然。
僕たちは大自然の中で生きている。
生かされていると言った方が正しいだろうが、ここも現実とピッタリ重なる事実だ。
自然には抗えない。だからこそ自然をしっかり見つめ、自然と共に生きる。
僕たちの祖先はそうして生きてきた。だから僕たちもそうやって生きよう。
巡礼に行こう
漂白の思いは誰にでもあるのではないだろうか。
今の日常に十分幸福感を感じているけれども、そこから離れて、あてのない旅をしてみたい。
時間、しがらみ、責任…色んなことから逃げ出したい。そんな瞬間は、誰にでもあるはずだ。
しかし人間として、社会の一員として生きる以上は、突然逃げ出し、永遠に逃げ続けることはできない。
一緒に映画を観た友人が言っていた言葉を借りて言う。
巡礼に行こう。
巡礼であれば、今の場所に帰ってこれる。目的もはっきりしている。一緒に行く人がいればなお楽しい。
帰ってこれるという確信、はっきりとした目的、心許せる道連れ。
この3つが揃ったのが巡礼。別に行き先は宗教的な場所じゃなくていい。自分が行ってみたい場所、何か新しい発見がありそうな場所へ行こう。
大事なのは、帰ってくること。新しく出会う人や経験を通じて、新しい自分と出会うこと。過去と訣別し、今この瞬間を生きること。
すずめの戸締まりを観て、巡礼に出て、幸せを見つけよう。
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