観客席から自分を笑う【自己矛盾劇場/細谷功】

寝る前に 自分を見つめる メタ視点

マスコミには志が無い。政府は国民のことを思っていない。

口癖になってしまったこのセリフ。しかしよく考えると、マスコミは視聴者が喜ぶものを放送するし、政治家は国民の投票によって選ばれる。どちらも国民一人一人の選択の結果だ。

マスコミや政府のレベルは、国民のレベルと比例する。彼らを批判することは、自分たちに向かって石を投げるということだ。

多様性社会を推進しましょう。

近頃よく聞くセリフだが、人間が一人一人違うのは当たり前で、もともと多様性を持っている人間が社会で生活しているのだから、僕たちはすでに多様性社会で生活している。

すでに存在している社会を推進するというのは、ちょっと意味がよくわからない。むしろ政府や自治体による「多様性社会を推進するために、少数派への偏見を許さない」という意見の押し付けが、多様性社会を抑制することになってしまうのではないか。

僕たちの周りにはたくさんの自己矛盾が存在する。自分の中の自己矛盾に気づいてしまうととっても恥ずかしい気持ちになってしまうが、成長し続けるためにはきちんと向き合わないといけない。ぜひ本書を読んで、一緒に真っ赤な顔になろう。

自己矛盾の特徴は次のとおりだ。

①自ら気づくことはきわめて難しい(が、他人については気づきやすい)

②気づいてしまうと、他人の気づいていない状態が滑稽でたまらない

③他人から指摘されると「強烈な自己弁護」が始まる

自己矛盾劇場|細谷功

これらを踏まえて普段の自分の言動を見つめ直すと、どっぷり自己矛盾に陥っていることがわかる。

あの人は頭が固い。←他人のことを頭が固いと判断している自分の頭も固いのでは?

ネガティブな考えはダメだ。←その決めつけもネガティブでは?

世の中気づいてない人が多すぎる。←高い視点から見るとみんな一緒?

この本を読むまで、自分がこんなにも多くの自己矛盾を抱えたセリフを吐きまくっていることに全く気づいていなかった。ああ強烈に自己弁護したい。

自己矛盾に気づくためには、対象物を一つ上の視点から見る「メタ視点」が必要だ。メタ視点から自分自身を客観的に見ることで、思い込みから抜け出すことができる。

常に自分を客観的に見ることを忘れてはいけない。←と言っている自分を客観的に見ることができているか?と言っている自分を客観的に見ることができているか?と言っている自分を(以下略)

特に自己矛盾に陥りやすいのはどんな時か。それは他人の悪口を言う時だろう。棚の上から他人を評価し、他人の気持ちを勝手に妄想し、バカにしたり見下したりする。そうやって自分の中で無理矢理他人を落とすことによって、自分が少し高い位置にいると勘違いできる。

ついつい人の悪口を言ってしまった後は、そういった人の本性(バカと無知に詳しく書いてありました。)を自分の中にしみじみと感じながら、メタ視点で自分を笑い、恥ずかしい気持ちになって反省する。それを繰り返せばだんだんと今よりマシな人間になれる気がする。

他人の悪口や陰口は害悪でしかない。そんなことで気持ちよくなっている恥ずかしい自分にならないよう、メタ視点からの監視を怠ってはいけない。

陰口を言う奴は本当に恥ずかしい奴だ←それも陰口では?

自己矛盾に気づいてしまった時にとても恥ずかしくて嫌な気持ちになるのは、自分だけは特別で正しいという思い込みから作られたプライドが傷ついてしまうからだろう。

しかし自己矛盾という概念を知れば、少しだけ自分や物事を客観的に見ることができるようになるのはとても良いことだ。自己矛盾に気づくことで、軽率な言動を減らすことができる。それはきっと信用を増やすことに繋がる。

自分の自己矛盾を他人に指摘された時は感謝すべきだ。しかし他人の自己矛盾に自分が気づいた時は指摘しないか、もしどうしても指摘しないといけない時は慎重にしなければならない。猛烈な自己弁護が始まってしまうからだ。

言葉よりも行動で示す。それが自己矛盾を抱えた僕たちの取るべき戦略だ。←それも言葉では?

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