困ったら 先輩たちが 知恵くれる
1
「物事を抜本的に変えてゆかねばならない」という思いと、「物事を抜本的に変えようとしてもうまくいかない」という思いに引き裂かれ、みずからの立ち位置を決めかねているーーそれが21世紀におけるわれわれの実情ではないだろうか。
【新訳】フランス革命の省察|エドマンド・バーグ著 佐藤健志編訳 PHP研究所
変化の激しい時代。変化にうまく対応しなければ生き残ることができない。そんな話をよく耳にするようになった。個人だけでなく組織でも、新しいものを知り、それを取り入れることが求められる。
ようやく使い方を覚えたころにすぐまた新しいものが現れ、時代に乗り遅れないためにそれに必死に着いていく。次々と訪れるそんなサイクルに疲れてしまった。そんな人も多いのではないだろうか。
凄まじいスピードで変わり続け、情報は溢れ返る。そんな社会と前向きに楽しく付き合いながら生きる方法はないだろうか。
2
政治の技術とは、かように理屈ではどうにもならぬものであり、しかも国の存立と繁栄にかかわっている以上、経験はいくらあっても足りない。もっとも賢明で鋭敏な人間が、生涯にわたって経験を積んだとしても足りないのである。
【新訳】フランス革命の省察|エドマンド・バーグ著 佐藤健志編訳 PHP研究所
時代とともに価値観も変化する。僕たちと僕たちの親の世代で意見が180度違うことも珍しくない。時代の価値観だけでなく個人の価値観も、すごい速さで変わり続けている。
そんな中、僕たち人間は集団で暮らしている。集団の中で生きる以上、その集団の将来を決める決断をしなければならない人物と場面が必ず存在する。その決断は、集団全体の幸福につながるものでなければならない。
こんなにも速い速度で変わり続ける世の中で、集団全体の舵取りをすることは簡単なことではない。集団が大きければ大きいほど、誤った決断が招く被害は大きくなり、責任は重大となる。
個人が前向きに楽しい人生を送るためには、所属する集団も同じく前向きで楽しい方向に進んでいかなければならない。逆に向かって悲劇を招かないために、未来への決断には一定の軸が必要だ。
3
国民全体の望みとあれば、国体に新たな要素をつけ加えてもいい。しかし過去の世代から受け継いだものは大事にすべきだ。
【新訳】フランス革命の省察|エドマンド・バーグ著 佐藤健志編訳 PHP研究所
個人も集団も、代々引き継がれてきたものを持っている。その中には、先人たちの経験に基づく、後の世代の幸福と繁栄のための知恵が詰まっている。おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さんの言葉には、僕たちだけでなく僕たちの子どもや孫の幸福を願う思いが込められている。
時代は変われど、その思いに変わりはない。僕たちも子どもたちの将来が幸福であることを願い、その繁栄が永続することを願っている。そのためには、先人から受け継いだ知恵を次の世代に伝えていかなければならない。
まずは歴史と伝統の中からその思いを汲み取ることが必要だ。僕たちの祖先は何を願い、何と戦い、何を守り、何を残してくれたのか。
僕たちが未来のための決断をするときには、そんな祖先の声を聞かなければならない。決して少数の身勝手な連中が利己的に作り出した風潮や、上部だけの浅い言葉に左右されてはならない。
4
過ちを犯しやすく、行きすぎに陥りやすいのが自由の特徴だが、偉大なる先祖の面々が自分の振る舞いを常に見ていると思えば、これにも責任感や慎重さという歯止めがかかろう。
【新訳】フランス革命の省察|エドマンド・バーグ著 佐藤健志編訳 PHP研究所
自然とは理屈抜きで正しいと感じられるものであり、かつ理性を超えた英知を宿したものなのだ。
【新訳】フランス革命の省察|エドマンド・バーグ著 佐藤健志編訳 PHP研究所
変わり続ける日々の中で、僕たちは毎日膨大な数の決断をしなければならない。大小さまざまなその決断の結果が、未来をつくり続けていく。
年齢とともに決断の責任はだんだん重くなる。致命傷を避けるためにも、たくさんの先輩からたくさんのヒントをもら愛ことが大切だ。僕たちは今この瞬間、はるか昔から受け継がれてきた祖先たちの願いを背負って生きている。彼らはきっと、僕たちを励ましてくれている。
過去から未来へずっと続いている個人という存在は、点ではなく線だ。線は重なって面になり、面が集まって集団となる。人間は集団で社会を作り上げてきた。そして社会は、自然というさらに大きなものに抱かれている。
自然の中で、祖先を思い、子や孫を思って生きるのが人間である。その大前提を踏まえ、自然に逆らわず、歴史と伝統にも逆らわず、次の世代を思う自分にも逆らわずに出す決断なら、きっと間違っていない。
祖先が守り続けた誇り高い日本を守り続ける。その強い意志を軸に決断し続けることが、この時代を前向きに生きるコツだ。
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