100年目の過ごし方【102歳、一人暮らし。/石井哲代・中国新聞社】

100年間 研ぎ続けるんだ その鍬を

人生100年時代。この言葉を聞くと、どうしても色んな不安が頭に浮かんできてしまう。お金の不安、体の不安、脳みその不安。

こんな時代を生きる僕たちの不安を一気に吹き飛ばしてくれる人が尾道に住んでいる。102歳で一人暮らしを続ける哲代おばあちゃんだ。

彼女の取材を続けた新聞記者が「人生100年のモデル」と例えた哲代おばあちゃんの生き方は、僕たちが理想の100歳を迎えるために必要不可欠なことを教えてくれた。

その答えは可愛らしさだ。本書に掲載されている数々の写真を見ればわかる。哲代おばあちゃんはよく笑う。その素敵で可愛らしい笑顔は周囲の人たちを安心させる。結果たくさんの人たちに好かれ、色んなことで助けてもらっている。可愛らしく笑うことは愛されることに繋がる。

哲代おばあちゃんはよくしゃべる。感動した時の「わおー、わおー」はぜひ今日から真似して使いたい。おしゃべりには相手がいる。自分の話を聞いてもらうためには、相手の話もちゃんと聞かなければならない。おしゃべり好きは聞き好きだ。素直にしゃべり、素直に聞くことができる人は可愛らしい。

哲代おばあちゃんはよく食べる。自分でも作るし買い食いもする。本書に登場する食べ物はどれも全部美味しそうで、読むとお腹が空いてくる。

食事中の幼児の姿を思い出してほしい。よく食べる姿はとても可愛らしい。食べること=生きることに全力を注いでいる姿が愛おしい。生きることの源である食事。バランスは大事だが、たくさん食べればそれだけ寿命は伸びる。元気な100歳を迎えるために、可愛くたくさん食べ続けよう。

哲代おばあちゃんの座右の銘は、「さびない鍬でありたい」だ。晴れの日は毎日畑で鍬を振り、雨の日は本を読む。102歳を迎えてもなお、自分を鍛え続けている。人が向上を目指して努力する姿は、健気で可愛らしい。挑戦し続けていれば、100歳を超えても青春だ。

可愛らしく笑って、しゃべって、食べて、鍛える。これは持って生まれた才能だけでできることではない。哲代おばあちゃんの一人暮らしは不断の努力によって維持される可愛らしさによって支えられている。

可愛らしく生き続けるのは決して楽ではない。可愛らしく生きると心に決め、そんな生き方に挑戦し続けていれば、哲代おばあちゃんのようなまるくかわいい102歳になれる。そこに気づいた時点で、人生100年心配ナイチンゲールだ。

100歳まであと64年、何で笑い、何をしゃべり、何を食べ、何を鍛えようか。

ごちゃごちゃと考えることは好きだから、文章を書いてしゃべり続けよう。好きな絵も描き続けたいし、将棋も指し続けたい。64年というとても長い年月を生きるには当然お金も必要だ。収入を得るための努力も続けることになるだろう。

どれも全て自分一人だけではできないことばかりだ。誰かしら他人と関わり続けなければ、僕たちは生きていくことができない。

さびないジジイになるために、どこまで可愛らしくいられるか。やりがいのある挑戦だ。

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